技術指導と声かけ

スポナビブログ廃止に伴い、記事を移動しました。(2011年8月2日投稿)

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 こんにちは、今日は少年少女を指導しているコーチ向けの話題です。
みなさん、子供達に新しいスキルを教えるときにどのように声かけをしていますか?

例えば、私がサッカーのインサイドキックを教わったときはこんな感じでした。
「ボールを良く見て」
「ボールの真横約10cmのところに軸足を置いて」
「軸足を蹴りたい方向に向けて」
「蹴る足をボールに対して90度にキープしてスウィング」

みなさんこの指示に忠実にしたがってみましょう。
おそらく、多くの人が自分の体の一部分に意識が集中して周辺や自分の身体全体に対する気づきが無くなっているのを感じると思います。

 さすがに最近ではこのような教え方は減ってきていると思いますが、体の一部分に意識を集中させて、その部分をコントロールして技術を獲得させるというやり方は、身体全体のコーディネーションが損なわれた技術を習慣化させてしまうことにつながります。
 (全ての子供がコーチの指示を忠実に守るわけではないのでみんながこのようになるわけではないのですが(笑))

人間は”学ぶ動物”とも言われています。学習能力が他の動物より高いことが人間を人間たらしめている特徴であり、良い習慣を身につけることも悪い習慣を身につけることもできます。
動物の場合は後天的に獲得する動きが人間ほど多様ではないので人間ほど動きの質に個体差はありません。
 
 それでは人間はどのようにして学ぶのでしょうか?

 それは赤ちゃんが新しい動きを習得する過程に見ることができます。例えば、初めて立ち上がるとき、まず自分より高いところにあるものに興味を持ちます。この目標になんとか到達しようとして頭が動き、身体がついていきます。何度も失敗を繰り返してついには立ち上がることができるようになります。人間にとっての自然な学び方とは自分で体の部分をコントロールして獲得していくのではなく、目的に導かれて体がコーディネートされ、トライ&エラーを繰り返し、ついにはその技術を習得するというものだと言えます。

これをインサイドキックの指導に当てはめてみましょう。

やり方としては例えば「コーン当て」などが使えるでしょう。
子供達はコーンにボールを当てるという目的に導かれて何度もトライ&エラーを繰り返し、最適な蹴り方を見つけていきます。
この時のコーチの役割は

①技術水準に応じた最適な条件設定を行う。
②自分からやりたいという気持ちを引き出すように楽しくする工夫
③上手にいかない子供がいた場合、適切な声かけを行う。などが考えられます。
③の声かけに関してのコツは、直接的に体の一部分を意識させる言葉遣いを避けて、間接的に導いてあげるようなアドバイスを行うということが挙げられます。
 
例えば一生懸命にボールを見ようとし過ぎて頭が押し下げられている子供に対しては、「足先にも目があると思って蹴ってみたら?」とか「蹴る時も頭の上には空があるよね」とか一部分に集中しすぎている意識を分散させて全体性をとりもどさせてあげられるような声かけが有効です。
このアドバイスは一人一人、何が有効かが違うので、コーチにはそれぞれの動きを見極めて、クリエイティブに声の掛け方を考えるという能力を磨くことが必要になります。

 ここで取り上げた「コーン当て」という練習は敵がいない中で行うので、ノープレッシャーでのキックの方法を習得することになります。それではゲームの中では使えないので、ある程度できるようになったら、ゲーム形式の練習に移行することが大切です。

 究極的にはゲームが一番のトレーニングです。最近ではフットサルや8人制が導入されてきておりますが、練習から子供達がたくさんボールに触れられるゲームを行う機会を増やしてあげることが大切です。

*既に悪い習慣を身につけてしまい、うまくいかなかったり、痛みなどの問題がでてきた場合には、アレクサンダー・テクニークを使って不必要になった習慣をやめていくアプローチが有効です。これについては、別の機会にお伝えしたいと思います。

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