ボールを見る?ボールが見える?

スポナビブログ廃止に伴い、記事を移動しました。(2012年11月26日投稿)

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先日、F.Cバルセロナの試合前の練習を動画で見ていたら面白い発見がありました。彼らは頭の位置がほとんど変わらないままでプレーしていました。

バルサ練習風景

気になったので日本の選手の練習風景を探してみました。そこで見つかったのが日本代表の試合前のトレーニングでした。

日本代表練習風景

まず、なんとなく見ていると、バルサの選手と比べてちょっと固いなという質感が見えてきました。

しばらく観察していると、何人かの日本の選手はボールを見るために頭を下げるときに、微妙にですが頭を押し下げる動きが起こっていることが見えてきました。

頭を押し下げると、脊椎が圧迫され、四肢の動きが微妙に制限されます。そうすると、身体のバランスが崩れて軸がなくなり力の伝達が非効率的になります。また、視野もせまくなり判断が遅れるのでパスミスが増え、プレーも遅くなります。

*“下を見る”という動作にもいろいろなやり方があり、脊椎を圧迫するやり方もあれば、圧迫しないで動きを妨げずに下を向くやり方もあります。下を向く動作が必ず害をもたらす訳ではありません。

映像を見ているとバルサの選手達はパスから次への移動がスムーズですが、何人かの日本の選手はボールを蹴る、頭を上げる、動き出すという動作が別々に行われているように感じます。

このような非効率的な動きを続けると、ひとつひとつの動作においては微妙な差ですが、試合終盤ではかなりの疲労度の差につながります。

それでは、どのように改善していけばいいのでしょうか?

バルサの選手達のように頭を高い位置にキープしていい姿勢を意識してプレーするという方法が考えられますが、残念ながらその方法はうまく行かない場合が多いです。

頭を高い位置にキープしようと努力すると、その努力が新たな緊張を生み出します。そして、頭の微妙な動きを止めてしまい、質的に固い動きになってしまいます。

「軸を意識して動く」などのトレーニングでも、意識するということと、筋肉的に努力するということが混同されている場合は、余計な緊張を生み出して、動きが固くなります。

「意識する」とはイメージするとか思うということで、筋肉的に操作、コントロールするということではありません。

では、どのような方法があるのでしょうか?

ひとつ試してもらいたいのが、「考え方を変える」という方法です。

まずは、みなさんが頭を押し下げるクセ(習慣)を持っているかどうか、確認してみたいと思います。

試しにボールを置いて蹴る動きをしてみてください。ボールにコンタクトする瞬間に頭が微妙に下がり、首が固くなっていませんか? 

首が固くなる感覚がある場合は頭の押し下げが起こり、自然な動きに自分で制限を加えています。

さて、ボールをコントロールする瞬間に頭を押し下げる選手達は、ボールを“見に行く”と無意識に思っている可能性があります。

そこで、<u>ボールの情報が目の方に“やってくる”と思って蹴る動きをしてみます。</u>

*これ以外の原因で下を向いて押し下げていることもありますが、ここでは代表的なものとして「ボールを見に行く」という例を取り上げました。

実際には、光は目に向かってやってきて網膜に入り、視神経を通り、脳に至ります。音は、空気が振動して、鼓膜に向かってやってきます。においも、同じく、においの分子が空気中を鼻の粘膜に向かってやってきます。

人間の頭には情報を集めるための器官がいくつも備わっていますが、それらは、情報がやってくるのを待っていれば上手く機能するように出来ています。

さて、頭を押し下げるクセを防止することができましたか?
首の圧迫感がなければ、うまく防止することができています。手足の動きの具合はどうでしょうか?

このように、考え方を変えることで動きのクセが起こらないようにすることができます。

良いコーディネーションを邪魔している無意識のクセが起こるのを防止することができれば、自然な動きが戻ってきます。

アレクサンダー・テクニークのレッスンではこのような方法も使います。ある種のエクササイズをやりますといった形がなく、状況に応じて様々な手段を使ってクセ(習慣)をやめてもらうメソッドなので、分かりにくい部分はありますが、動きの質に変化をもたらすことができる実用的な方法です。一度、試してみてください。

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