スポーツが上手くなる意識と身体の使い方のレッスン 

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2016年10月5日

リハビリのコツ②〜神経系を再構築する〜

    

スポナビのブログに書いた記事です。こちらでも読めるようにコピーをしておきます。

先日の野球の松坂大輔選手の1軍登板は残念な結果に終わりました。

そして、サッカーの内田篤人選手。検査の結果では良い方向に向かっているようですが、復帰までに長い時間が掛かっています。

さて、長年、本格的に競技を続けてきた人達が故障したり、スランプに陥った後に復帰するのは大変だと思います。この記事では、リハビリの際に障害になる緊張パターンについてと、神経系を再構築する方法について書いていきたいと思います。

何かのきっかけで不要な筋の緊張がパターン化されてしまうことがあります。

例えば
・ケガを庇うためにバランスを崩してしまい、その状態が習慣となってしまう。

・筋力や体躯が変わったのに、以前と同じ感覚を求めて力んでしまい、それが習慣となってしまう。

・もともとの動作の中に、問題にならない程度ではあるが緊張のパターンが含まれていて、それが、長年の反復で強化されて痛みや故障として現れる。

・不安や焦りで、緊張のパターンを増幅、または新しく獲得してしまう。など

これらのやっかいなところは、本人がその動作を「する」と思った時点で、その緊張パターンのスイッチも一緒にONになってしまうことです。

それはほぼ自動的に入ってしまうので、何が必要な動作で、何が不要な緊張パターンかということを認識するのはなかなか困難です。そして、認識できないのであれば、それをやめることはできません。

さらに問題なのは、この緊張パターンを持ったままで、新しいフォームの練習をしたり、筋トレなどで身体を作っていくと、問題が解決されないどころか、ますます緊張パターンが強化されてしまうことがあるということです。

この傾向がひどくなっていくと、自分でコントロールできないところまで行ってしまうこともあります。

例えばフォーカルジストニア(動作を実行しようとすると、その部位が震えたりして、やりたい動作ができなくなる症状)などは、心理的な不安などと筋の緊張パターンが結びついて、治そうと思えば思うほどに強化されてしまい、制御不能になるところまで行ってしまったという症状の一例です。

では、どうすればいいのでしょうか? 

まずは、自分が無意識にやっている不要な緊張パターンを認識することが最初の一歩です。

それには、とても繊細な感覚が要求されます。

 特にアスリートは普段、強度の高い、たくさんの神経を動員するようなトレーニングに慣れているので、最初は物足りない感じがするかもしれませんが、繊細さの中でしかできないこともあることをご理解ください。

 
 ①まずは、静かなところに立ちます。最初は眼をつぶってもらってもかまいません。

 
 ②その動作を「するぞ!」と思います。が実際にはやりません。その時、筋にピッと緊張が走るのが分かると思います。特に首や背中に走る緊張のパターンがあるかどうかを気にしてみてください。
  
*緊張を感じられないくらい筋肉が固まってしまっている場合は、まずは、ゆるめることが必要です。床に横たわり膝を立て、頭の下に本などを置きます。しばらくの間、重力にまかせて緊張がゆるむのを待ちましょう。

 
 ③その緊張はその動作に必要なものでしょうか? それとも不要なものでしょうか? 
  スムーズな動作の動画を見たり、動作のメカニズムなどから検討してみましょう。
  又、動作にブレーキを掛けている感じがするなども判断の基準になります。

 
 ④その動作を「するぞ!」と思ってみるが、実際はやらないで緊張パターンをやり過ごす。その直後にやりたい動作を身体の感覚と一緒にイメージする。

 ⑤やりたい動作が、緊張のパターンなしでイメージ(身体感覚も一緒に動員して実行)できるようになったら、実際に軽くその動作を行ってみる。

 
 ⑥ 緊張パターンが起きなければ、少しづつ強度を上げて行く。もし、緊張パターンが起こったら、そこで緊張パターンに「ちょっと待った」をかけてやり過ごし、やりたい動作を実行する。

 
 ⑦実際の強度、スピードで行うことができたら、負荷を上げて行き、実戦で使える身体を作って行く。このころには、動作を行う最中に、自分で緊張パターンが起こっているかどうかを認識できるようになっています。

 このように書くと簡単そうですが、実際のところは数週間〜数ヶ月かかるプロセスです。

 習慣化された神経系を新しく刷新するというのは、それぐらい繊細で、時間の掛かる取り組みとなります。

 しかし、⑦までたどり着いた方は、動作を自分で調整する能力が身に付きます。

 繊細なレベルで自分の動作を認識し、調整することができる能力は、選手寿命を伸ばすためにも必要な能力です。

 例えば、野球のイチロー選手はその最高のお手本ですね。

 早く治さなくてはと焦っている時に、こんなに時間がかかる方法をと思われるかもしれませんが、急がば回れとも言います。

 現在、リハビリが上手くいってなかったり、スランプで困っている方は、まずは、①〜③を試してみてください。

2016年09月1日

自分のモノサシもってますか?

    

 

先日、音楽をやっている高校生がレッスンを受けにきてくれました。

彼曰く「先生の指示に従っていたら身体に違和感が出てきて、、、、そこで、ネットや本を調べてアレクサンダー・テクニークを見つけて受けてみようと思って来たんです。」とのことでした。

 今は調べようと思えばいくらでも情報を手に入れられる時代になったので、高校生であっても自分で問題意識を持って動けば必要なものを手に入れやすくなりましたね。

そうはいっても、中高生の方は保護者に連れられてくることが多いので、自分で調べて来てくれたというのにはちょっと感動しました。

さて、レッスンにはサッカーなどのスポーツ、ダンスやヨガ、その他のいろんな習い事をやっていて、指導者から言われた事を一生懸命やろうとしてるんだけど、上手く出来なくて困っている方達も来てくれます。

指導者の方へのアドバイスとしては、「自分が発した言葉を生徒がどう受け取って表現しているのかというところまで注意深く観察しましょう。」ということなのですが、これについては別の機会にお伝えするとして、今日は生徒の側はどういう心構えでいれば、上達しやすいかということを書いていきたいと思います。

まず、言葉を使って動きを伝えるということはとても難しいということを頭に入れておいてください。

例えば、「〇〇を意識して動いてください。」と言われると、

10人いれば10通りの”意識する”方法で動こうとします。

そのうち、動きが良くなる方向に動作を実行できる人は僕の印象だととても少ないです。

指導者の指示を自分の運動経験というフィルターを通し、解釈して実行しようとするので、指導者の意図するようにできる人もいれば出来ない人も出てくるのです。

本来は指導者が受け手のフィルターが一人一人違うことを前提にアドバイスをするべきなのですが、そこまでできる人はそれほど多くはないと思います。

そういう訳なので、「なんで、できないんだ!」などと言われた場合にも、「自分が悪いんだ」と落ち込む必要はありません。

もしかしたら、コミュニケーションに齟齬があるのかもしれないなと思ってこれから挙げるポイントを確認してみてください。

①部分を動かそうとすると全体のバランスが崩れやすい。

みなさん 「膝を意識して」 と言われたらどうなりますか?

多くの人は膝の辺りに意識が集中して、体全体のことが分からなくなると思います。

言葉には限定する働きがあるので、部分を現す言葉を聞くと意識がそこに集中しやすいのですが、そうなると体全体のバランスが崩れやすくなります。

全体のバランスを司る仕事は複雑すぎて意識してコントロールすることはできないので、それは身体に任せましょう。

そのためには、意識を身体の一部分に偏らせないことが大切です。

②その動作の目的は? 形だけになっていないか?

運動を実行するためには、目的やまわりの環境からの情報が必要になります。

目的は、例えばサッカーならゴールをする、ボールを奪うなどですね。

まわりの環境についての情報とは、味方、相手、ピッチの広さ・状態、風向き、気温、観客の有無など、全ての情報を含みます。

この2つの情報を受け取って初めて、身体はその状況に合わせた微調整をしてくれます。

フォームを変えようとか、新しい動作を習得をしようというときには、身体だけに意識が偏りがちです。

周りの情報を含めた状態で練習しましょう。

③動きはよりラクに・スムーズに感じられるか。

指導者からのアドバイスを受けて動いてみた時に、よりラクに、軽く、スムーズに感じられるかどうかというのは一つのものさしになります。

逆に、緊張が増した、頑張り感が増えた、ぎこちなく感じるという場合は上手く行っていない可能性があります。 

緊張感が増すように感じる場合、そのまま練習を続けると上手くできてない動作を強化していくことになります。

その動きが身に付いて習慣化してしまうと、後から修正するのはちょっと大変です。

その場合は闇雲に回数を重ねるのではなく、いったん立ち止まって自分がやっていることを見直してみましょう。

④感覚をガイドにしていないか?

運動は 意図する→神経を介して指令が伝達される→ 筋肉が働いて動きが実行される → 感覚がフィードバックされる という順序で起こります。

ですが、良くある上手くいかないやり方は

ラクな・スムーズな感覚を感じながらor 探しながら実行しようとする。:感覚は動いた結果としてやってくるもの、つまり、過去の情報です。それを使って今、動こうとするとぎこちなくなります。

他には、スランプに陥った選手がやりがちなものとしては、

上手くできていた時の感覚を思い出して再現しようとする→ 過去を思い出して再現しようとするので、その瞬間の周りの情報を遮断してしまう → 身体のバランスが崩れる → 同じことを再現できないので、何度もこれを繰り返す → 徐々に下手な動きを習得してしまう。

などです。

感覚は運動を実行した後に、その動作が上手くできたかどうかを判断するモノサシには使えますが、ガイドとして使う事はできません。やりたい動作を意図することから始めましょう。

やりたい動作が明確ではない場合は、その分野のトップレベルの選手の動画を見ることをオススメします。

⑤自分の感覚は当てにならない。
 
 ③と矛盾するようですが、ほとんどの人の運動感覚にはズレがあります。

例を挙げると、手を真横に挙げてくださいと言われてやってみると、真横ではなく上下にズレが生じる人が多いということなどです。

ですので、自分が感じていることと、実際に行っていることにはズレがある可能性があるということを覚えておいてください。周りの人から見てもらうことも助けになります。

以上、ざっと思いつくことを挙げてみました。 

上手くなるためには指導者に言われることを鵜呑みにするのではなく、試してみて、自分の身体と対話し、取捨選択することが大事です。

そのためにも自分のモノサシを育てることは役に立つと思います。

よかったら、チェックしてみてください。

2014年10月25日

頭が全身のコーディネーションに与える影響〜小野伸二選手〜

    

こんにちは、前回の動きの動きの観察の記事が止まっておりましたが、先日、友人がFBで凄く分かりやすい映像をシェアしてくれていたので、それを使って解説をしていきたいと思います。

これは、小野伸二選手の前所属ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ時代の試合前の映像です。

3人でボールを扱っていますが、ボールをタッチする際のそれぞれの選手の首と頭の辺りを見てください。

小野選手はタッチの直前、最中、直後のいずれの瞬間も頭が固定されてなくて、柔らかい状態であるのが見て取れると思います。

一方、他の2選手はボールをタッチする瞬間に頭が微妙に固定されているのが見えると思います。

そして、それぞれの身体全体の動きを流れとしてみた場合、小野選手はしなやかで流れるような、つながり感のある動きになっています。

他の2選手は一瞬止まって又動くという感じで、流れとか連続性がみられません。

おそらく、この選手達はボールを見ること=頭を固定することという習慣を身に付けてしまっていて、それが全身のコーディネーションをほんの少し損なっているのだと思います。

でも、このほんの少しの違いがプロ選手同士がしのぎを削る中で、一瞬の差につながってくるのだと思います。

「おいおい、小野選手と比べるのは可哀想だろ」という声も聞こえてきそうですが(笑)

では、他の2選手は少しでも小野選手のスキルレベルに追いつけないのでしょうか?

(サッカー選手のピッチ上でのパフォーマンスには、戦術理解なども絡んでくるので身体の使い方だけでいい選手かどうかが決まる訳ではありませんが、ここでは身体の使い方に絞って話をしています。)

今の彼らの身体の使い方=ボールを見る際に頭を固めるというクセを持ったままでも、いろんな技を習得したり、リフティングの回数が増えたりということはできるようになると思います。

ただし、小野選手のように柔らかく身体全体を使ってボールを扱うスキルを身につけたいと思ったら、ボールを見る瞬間に頭を固めるクセをやめて練習を行う必要があります。

これは、人体の構造自体が首を固めると動きが止まるようにできているので、動きの質の改善を求めるのであれば避けられない部分になります。

まずは、身体感覚を繊細にする練習をして、自分が動いている最中に何をやっているのかを自覚できるようになりましょう。

自分の動作をビデオに取って見るのも有効だと思います。

中には、特に見て学ぶことが得意な人の場合、この映像を見ただけで「そうなんだ!」と気づいて自分でできるようになる方もいると思います。

いい選手の動きを見るというのは、動きの質を改善したい場合にもオススメです。

2014年07月17日

これからの体幹トレーニング

    

こちらの記事はスポナビで時々書いているブログからの引用になります。

〜ここから〜

ちょっと前になりますが、NHKで放送されたネイマールやシャビ、イニエスタのヒミツを探る特集は画期的でしたね。

今までの研究は体育会所属の大学生と一般人を比べるなどが多かったので、世界のトッププレーヤーのヒミツの一端が明らかにされるなんて、凄いです、思わず興奮してしまいました。(笑)

その中で、気になったのが、ネイマールの1対1のヒミツが明かされた場面でした。

番組では、元日本代表の乾選手の1対1とネイマールの1対1が実験・比較されていましたが、

重心移動の自由さ、振れ幅がかなり違っていました。

乾選手が「次元が違う」というようなことを言っていたぐらいです。

You Tubeなどで実際の動きを見てみると、両者の体幹のしなやかさが違うことが見えると思います。

例えば、切り返しを行うときに、体幹を1つの固まりとして使っていると、重心の移動は足で踏ん張って切り返すか、体幹を傾けて切り返すという動作になります。

一方、体幹がしなやかであれば、体幹自体で力を吸収したり、重心移動を自在に行うことができ、相手に読まれにくいタイミングで切り返すことができます。ネコの動きなどを見ていると、音もなくすーっと移動していきますね。そんな感じです。

さて、最近は体幹トレーニングが人気ですが、体幹トレをやっているみなさんは何を目的にトレーニングを行っていますか?

①体幹の筋肉量を増やして安定化させ、足で起した動きが伝わりやすくする。

②体幹もしなやかに使えるようにして、重心移動や、切り返しなどの動きを作る動力源として使えるようにする。

①の代表が長友選手や本田選手だと思います。②の代表はネイマール。野球選手だとイチロー選手などですね。

①のトレーニングでも本人の努力と才能次第では、世界のビッグクラブで活躍レベルまで行けるということはすでに何人もの選手達が証明してきています。

しかし、このNHKの実験で、両者には動きの質的に異次元といえるぐらいの差があることが分かりました。

今回のワールドカップでも、世界のトップと日本の差はなんだろうと思われた方も多かったと思います。

戦術、技術、心理面などあらゆる面での違いがあったと思いますが、私の専門である体の使い方という点では、体幹を自在に使いこなせているかというところが一つのポイントだと思いました。

今後、日本の選手がフィジカルの面でもう一段上に行く為には、体幹トレーニングに②を実現するための要素を加えて行くことが必要なのではないかと思います。

〜ここまで〜

具体的に何をやるかは様々な方法がありますが、アレクサンダー・テクニークはかなり役に立つと思いますよ(笑)

2014年05月7日

理想の動作とは

    

こんにちは、先日のサカイクさんで取り上げて頂いた記事から、動作の観察についてもっと知りたいという声をいただきましたので少しづつ文章にして行きたいと思っています。

さて、今日は理想の動作についてです。

ちなみに、観察のコツは最終的にはこれから述べて行くディテイルを分析しながら見るということを手放して、ただ全体的に情報を受け取るように眺めるというのがコツになります。

しかし、まずは何がポイントかを知ることが大事なのでまずは読んでみてください。

〜ここから〜

人間のカラダが一番効率よく動くのはどんな状態でしょうか?

まずは、人間=脊椎動物の構造上もっとも効率的な動きを発揮する条件があります。

専門的な動作はその上に乗ってくることで、より効果的でスムーズな動作になります。

土台となる人体の動きの理想的な状態とは以下の2つの条件を満たしていることが挙げられます。

①脊椎(背骨)が伸びる方向の動きを内包していてる。
②身体全体が動きに参加している。

街を歩いている人を観察してみてください。多くの人が手と足で歩いていると思います。

胴体はどんな感じですか?

かちっと固まって動きがない質感をしている人が多いと思います。

一方、チーターが走る様子、幼児が歩く様子、トップアスリートの動きを観察すると、胴体にゆらぎがあったり、柔軟に動きに参加している様子がうかがえると思います。

③手足主導で動く or ④頭と背骨が自由に揺らいでいながら、体全体が動作に参加している。

この違いがパオーマンスの質を決定づけることになります。

③の使い方で動いている選手は、いくらトレーニングを積み重ねても④の質の動作に移行することはありません。
(*野球で昔から言われている1000本ノックをやると限界を越えたときに余計な力みが抜けて、いい動きができるというのも一理ありますが、故障などのデメリットが多いのでお勧めはしません。)

より柔軟で効率的な動きを求めるのであれば、最初から④の質感を持って専門的動作をトレーニングする、

または、一旦③の使い方であるレベルまで到達したけど、頭打ちを感じているのであれば、動作の質を見直して④の質を伴ったカラダの使い方を獲得して行く必要があります。

続く。

2014年04月11日

サカイク記事補足説明

    

こんにちは、先日、少年サッカーの保護者向け情報サイト”サカイク”さんに取材をして頂きました。

前編『ボールをよく見なさい。その一言がこどもの動きを制限する』→ こちら

後編『修正に半年かかるクセをダルビッシュが2日で治せる理由』→ こちら

その中で、2点ほどもう少し詳しく説明した方が良いと思ったことがありましたので、今日はそれを書いていきたいと思います。

まず1つめはマラドーナやC・ロナウドは頭を高い位置に保ったままボールを扱っていて、ジダンはボールを見に行ってボールを扱っている。このどちらも正解ということについて。

文中では「その人本来の動きができていればなんでもありなんです。」と書かれていますが、1つだけ原理原則があります。

それは、以下の違いです。

①脊椎(背骨)が伸びる方向の動きを内包していてる。

②脊椎(背骨)が縮む方向の動き、もしくは伸びていても固まる質感を内包している。

どのような動作にも間違いはないのですが、①に当てはまると自然でスムーズな動きになります。②に当てはまると硬くて重い動きになります。

スポーツ的に目指したいのは①に当てはまる動きですね。①に当てはまれば何でもありというのが記事中の表現の意図です。

さて、ここまでの文章を読んで、「そうか、脊椎(背骨)を伸ばして動けばいいんだな。」と解釈してそれを実行するとおそらく98%の人が固まる結果に終わると思います。

それが、2つめの記事の最後で言っていた、「やることが具体的になると固まる。」ということです。

メッシやC・ロナウドやジダンは①を起そうとしてやっているのではなく、結果として①のような動きが現れています。

つまり、彼らは直接、脊椎を伸ばそうと努力しているのではないんですね。自然に出来ています。

ここに、トレーニングやエクササイズの落とし穴があります。

出来てる人は自然に出来ているのであって、頑張ってやっている訳ではない。

我々一般人が頑張ってやろうとしても固まる結果に終わってしまう。

うーん、希望がないですね(笑)。
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ところが、勘のいい方はお気づきかもしれませんが、一流選手達の動きにおいて①が結果として起こっているのであれば、①が起こるように間接的に働きかければいいのではないかということが思い浮かぶかもしれません。

記事の中では首の緊張に着目すると書かれていました。

これをもう少し説明すると、間接的な手段として首の緊張に気づいてその緊張をやめることで①が起こってくるということになります。

しかし、選手1人1人クセは違います。また、学びやすい方法も違います。(イメージで学ぶのが得意な選手、感覚で学ぶのが得意な選手、実際にいい動きを見て学ぶのが得意な選手などがいる。)

従ってアレクサンダー・テクニークは教師がいろんな教え方を駆使し、又、生徒によって教え方が異なることがあり、教え方をマニュアル化できないので文章に表現することが難しい。

つまり、ライターさん泣かせなワークということになります。(笑)  

コーチが選手の問題点を見つけたときに、直接「〇〇を治しなさい」と言って、選手が〇〇を意識しすぎてぎこちなくなることは経験があると思います。

コーチングの醍醐味は、いかに間接的に働きかけることでその問題点が改善されるかを探って行く、そして、いずれは選手が自分で気づいて変化を起こせるようにサポートをしていくことじゃないかなと僕は思っています。

ちなみに、アレクサンダー・テクニーク教師養成トレーニングは3年〜4年で約1600時間が目安とされています。

僕の場合はそれに加え、街を行き交う人の動きを観察し、you tubeでアスリートの動きを観察するということを良く行っていたので、かなりの時間を観察とコーチングのトレーニングに費やしました。さらに教え始めてからも、観察・実験・分析というプロセスを使って動きの探求をしています。

動きが見えるようになり、どのように声かけをしたら上手く選手をサポートをすることができるのかを学ぶのには確かに時間がかかります。

しかし、目の付け所を学ぶことで効率的に学ぶことができると思います。

僕自身が会得してきた観察のコツや声かけのコツを運動指導者の方達にお伝えして行きたいと思っていますので、興味のある方は声をおかけください。